物販店の店舗内装で知っておきたいこと

物販店は他の業種に比べて、内装工事の費用を抑えることができます。その分を物件選びに回したり、内装デザインに割り振ったりというように自由度が高いのはメリットと言えるでしょう。それだけに、店舗の内装デザインや、工事に関してきちんと知っておくべきです。ここでは、内装デザインの重要性や相場費用、設計する上で考慮すべきポイントについて解説していきます。

物販店の内装工事にかかる費用の目安

店舗内装

開業の準備を始める前に知っておきたいことの1つに、予算が挙げられるでしょう。中でも店舗の内装工事にかかる経費に関しては、一番金額が大きいだけに早めに知っておいて金策を立てておきたいところです。物販店や小売店などの内装工事における費用としては、坪あたり10?30万円が相場とされています。専門的な設備が必要なサロンや美容院、厨房など構造も考慮しなければならない飲食店と比べて金額は低めです。機器・設備を設置するスペースや動線の確保、厨房のための機器や換気設備・防水工事などが必要でない点が有利な点です。

ただ店舗のデザイン、内装のグレードにこだわるのであればその分だけ費用は上昇していきます。一方で店舗の賃料が上がりやすい点は、物販店の特徴と言えるでしょう。店員や作業員のみが出入りする、バックヤードの確保が必要となるからです。このバックヤードの面積・規模によって、取り扱うことのできる商品のサイズ・在庫数が異なってきます。搬入や搬出、在庫を置いておくための空間の有無によって業態は大きく変わります。

売上に影響を与える内装工事・デザインの重要性

"物販店での内装デザインは、売上・集客ともに大きな影響を及ぼすポイントです。ライバル店との差別化を図る上で仕入れる商品のチョイスやレイアウトなども大事ですが、それよりも目立って独自性を出せる部分があります。それこそが店舗内装であり、お店のコンセプトが反映されたお店ほど他よりも際立った個性を醸し出せます。見せるのは商品だけでなく、お店の内装を含めた展示方法だということを踏まえておきましょう。

商品の魅力を引き立たせるためにも、内装デザインにはこだわるべきです。高級な商品を扱うのであれば高貴な雰囲気を、オーガニックな食品を扱うのであれば木目をあしらうなどナチュラルな素材を採用すると良いです。そこからさらに壁材とディスプレイの色味・素材を揃えて統一感を出したり、照明の色味や配置を工夫して空間を演出するとより引き締まります。ターゲットとなる購買層の興味、趣味嗜好を調べてそこに合致するテイストを理解することも大切です。

居心地の良い空間、お店に入りやすい空間を心がけることも店舗デザインには必要な要素です。流入はもちろん、滞在時間が増えるごとに購買率の上昇が期待できるため忘れてはいけない部分と言えるでしょう。"

物販店の内装デザインを考える際のポイント

開業の際、いかなる業種であっても店舗の内装についてしっかりと考えておく必要があります。ここではさらに、物販店における店舗デザインの考慮すべきポイントについて見ていきましょう。商品を引き立てる内装を心がけることが、店舗デザインの第一のポイントです。物販という名前が示す通り、主役は商品となります。内装が凝っていたとしても取り扱う商品のイメージからかけ離れていたり、ましてや商品が見劣りするようなデザインであれば売上が期待できなくなってしまいます。

商品が陳列されて初めて店舗の内装が出来上がるような、品物ありきのデザインを留意しておくようにしましょう。滞在時間、回遊率を高めるレイアウトを目指すことも大切です。購買欲を高めるには、少しでも長い時間にわたってお店に居てもらった方が可能性は上昇します。たとえばスーパーやコンビニでは回遊率を上昇させるために、左回りに巡るような動線を作っています。もちろん業種や店舗の規模・構造によって異なるため、自身が開業しようとしている店舗モデルと似た事例を探して参考にするのがベストです。

大まかな物販店の内装工事の流れ

店舗内装

バックヤードの規模が異なるぐらいで、物販店の内装に関してはさほど特殊なポイントはありません。そのため一般的な店舗の内装工事に関する手順は、共通点を理解すればさほど難しくありません。大きな流れとしては店舗のデザイン・設計を行う企業を探して、問い合わせて複数の候補の中から選んでいきます。契約を結んだ企業と打ち合わせを重ねてイメージを固めていき、同時に現地調査と店舗の物件探しを行うようにしてください。

そして、内装デザインが完成したら、実際の内装工事へと移行して完了したら引き渡しという流れです。細かく見ていくと、内装のデザイン・設計と工事を一貫して行う会社を選ぶ場合と別々でチョイスする場合の2つに分けられます。このあたりは予算と、希望するデザインの方向性によって臨機応変に選ぶのが良いでしょう。希望・条件に関しては、探す前にきっちりとまとめておくのが大切です。複数の企業に相見積もりを出すのは、金額もさることながら工事・設計の概観を掴む上でも有用であるためぜひ実施してください。

施工を行う企業・工務店を選ぶポイント

店舗の内装工事を成功させる上で、工務店やデザイン事務所選びの重要性は非常に高いです。選ぶ際に重視すべきなのは、施工実績に関してです。自分がイメージする店舗デザインに近いのはもちろん、施工実績の数についても注目してください。施工数が多い分、経験値もそれだけ溜まっていると考えて良いでしょう。続いてその会社の、過去の業績から得意とするスタイルを見抜きましょう。同じ飲食店と言えども、ラーメン屋とカフェでは内装工事の内容やデザインが大きく異なります。自身が希望するスタイルの物販店の実績が多いこと、それに近しいスタイルを得意としている会社を探すことが大事です。また内装の工務店・デザイン事務所の、担当者の対応もチェックポイントとなります。

問い合わせに対して真摯に対応してくれているか、こちらの要望を汲み取った上での提案を出してくれているか、不必要な営業をしてこないかといった点に着目しておきましょう。技術や実績に問題がなくても、対面した上での担当者の態度が良くない企業はやめておくべきです。計画中や作業時はもちろん、開店した後もアフターメンテナンスなどでお世話になり続けるからです。

物件を選ぶ際に気を付けておきたい点

"物販店の内装にこだわるのも大切ですが、同じぐらい物件選びも重視すべきです。扱う商品のジャンルによって、選ぶべき立地環境は異なるからです。たとえば楽器店やインテリアショップであれば、駅前などメイン通りに面した建物の1階が最適になります。集客面では立ち寄りやすいこと、営業面では商品の運搬が容易であることがその理由です。貴金属や時計など、小物類が主体であれば2階であったり裏路地の物件であっても運搬面ではさほど困りません。ただし、集客面では、表通りに看板を出せるかどうかを先にチェックしてから決める必要があります。続いて物件が属する、エリアについても見ていきましょう。オフィス街に物販店を開くのであれば、仕事帰りに立ち寄ることを想定しなければなりません。

大きな荷物を持って電車で帰るのは避けたいと考える人が多いため、カバンに入るような小さめのサイズのものが適していると言えます。住宅街の場合は、地元住民がターゲットとなるため時期を選ばず足を運んでもらえるでしょう。一方でビジネスマンや観光客の集客が厳しくなるため、リピーターに愛され続けることが大切です。

物件の広さは、お店のコンセプトや規模にダイレクトに影響する部分です。在庫スペースや売り場の展開を考慮して、選んでいくことが大切になります。"

まとめ

店舗内装

物販店の主役となるのはあくまで商品であり、それを引き立たせる内装デザインが集客の鍵を握っています。店舗で取り扱う商品・ブランドによってスタイルは異なるため、しっかりとそれに応じたコンセプトを立てておくことが重要です。理想の店舗を実現して成功に導くためにも、コンセプトを明確にした上でそれに応じて尽力してくれる施工会社を探すことが大切だと言えるでしょう。